"グローバル化が進む中、未来のビジョンが一元化することは、世界が何者かによって支配されるということと同義です。ひとつの未来をみなが信じることがみなを幸せにすると信じられていた時代には、ビジョンは単純に視覚化は絵やジオラマや映画にまとめることができました。しかし、一点透視の予想図を全員で共有するだけでは、未来は切り開けなくなっています。 各地域の経済や文化を背景にした、自律分散型の未来が求められています。そしてそれらが協調して働き、環境問題や貧困の問題、エネルギーの問題に取り組んでいかねければなりません。 自律する者どうしが協調するには、互いのリソースを出来る限り公開し、議論を積み重ね、問題意識を共有し、ともにビジョンを構築していく姿勢が必要です。姿勢だけではなく、その姿勢を促す仕組みが必要です。 言語、映像、音、身体表現などを駆使し、見えないものを触知できるものに変え、多点透視の未来を描き出す能力。それが21世紀のビジョナリーに求められる資質だと思います。さらに加えて、その多点透視のビジョンをつくるために、才能あるビジョナリーどうしがコラボレーションし、直観とリソースを自発的に交換しながら、ビジョンを構築する仕組みまで構築すること──それが未来提案者の最重要課題になるでしょう。もちろんデザイナーだけの仕事ではありません。しかしデザイナーという職能が、この複雑なタスクで大きな役割を果たせることは間違いありません。"